シンガポール裁判所が却下、WazirXがパナマに拠点を移転:Zensuiにブランド変更か
シンガポール裁判所がWazirXの再建案を却下
シンガポール高等裁判所は、2億3,490万ドルのハッキング事件における透明性の欠如を理由に、WazirX仮想通貨管理会社による申し立てを却下し、同取引所はZensuiにブランド変更したうえで、パナマに移転したと報じられている。
同取引所が2億3,490万ドル(約336億円)相当の仮想通貨を盗まれたハッキング事件からほぼ1年が経ち、シンガポール高等裁判所のクリスティ・タン(Kristy Tan)司法委員は、同取引所の再建案を却下。その理由として、同取引所が主張するロックされた債権者=ユーザー資金の85%の補償を含む再建計画の請願を代理した親会社Zettai Pte Ltdの「透明性の欠如」を理由として 挙げて いる。
同社は、2024年7月のハッキング事件以降、10カ月の間、取引を停止し、ユーザーの約2億5,000万ドル(約357.5億円)相当の資金を凍結。WazirXは現在、新会社Zensuiの傘下でパナマに拠点を移転したと主張している。この移転は、ハッキング被害からの復旧作業の継続の一環で、Zensuiの移行は、サービスの継続的な提供と将来の事業成長の実現を目指しているという。
WazirXが「Zensui」にブランド変更
同取引所は、「WazirX」から「Zensui」にブランド変更し、親会社をシンガポールからパナマに移転したという。
この決定は、シンガポールがデジタル資産関連企業に対する規制を厳格化する中で行われており、急速に進化するコンプライアンス要件が、世界中の仮想通貨取引所に事業戦略の見直しを迫っていることを浮き彫りにしている。また、このブランド変更は、同取引所が依然としてユーザー保護への懸念と法的課題に直面している中で行われたもので、業界専門家は、多くの企業がアジアをはじめとする地域での規制強化に対応し、事業の重点を移していることを指摘している。
WazirXはシンガポールの厳格化する仮想通貨規制に対応
シンガポールでは、同国政府による仮想通貨取引所への取り締まり強化により、現地における企業の事業運営が困難になっている。
規制当局は執行を強化し、デジタル資産事業におけるライセンス取得とコンプライアンス要件の重要性を強調した結果、WazirXは事業基盤を見直し、パナマへの移転を選択したとみられる。Zensuiとなった同取引所がパナマを選んだことで、より規制の緩い法域を求める仮想通貨企業のリストに加わった。
パナマは仮想通貨に友好的な国として知られているが、シンガポールは投資家保護と強固な監督体制の維持を最優先に考えており、そのスタンスは大きく異なっている。Zensuiは、移転によりサービスが向上し、コンプライアンス規制の変化に伴う数々の課題が軽減されることで、同社の成長を後押しできると主張している。
解消されない法的課題とユーザーの懸念
WazirXの今回の移転は、親会社であるZettai Pte Ltdがシンガポールで係争中の訴訟に関与している中で行われ、Zettaiはハッキング攻撃で損失を被った後、ユーザーへの返済計画の策定のため、裁判所の認可による支払猶予を申請した。
シンガポール高等裁判所は5月13日の法廷審問において、Zettaiが未解決の問題に対処する期限を6月6日と定め、支払猶予を延長。さらに、WazirXのユーザーは、資金引き出しの遅延や経営陣からの不明確なコミュニケーションについて、ソーシャルメディア上で不満を表明しているのが現状だ。
その背景には、創業者でるニシャル・シェッティ(Nischal Shetty)氏からの情報発信がないことで懸念が高まっており、口座保有者への影響についても疑問が生じ始めている。
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