米国の金融サービス企業キャンター・フィッツジェラルドが、アダム・バック氏率いるブロックストリーム・キャピタルから35億ドル相当のビットコイン(BTC)を取得する方向で最終調整に入っている。 フィナンシャルタイムズ と ブルームバーグ が関係者の話として報じた。
この取引には、キャンター傘下の特別買収目的会社(SPAC)である「キャンター・エクイティ・パートナーズ 1」が関与しており、同社は2025年1月に2億ドルの資金調達を実施済み。取引相手となるのは仮想通貨トレーディング企業ブロックストリーム・キャピタルで、同社の創設者はビットコインの先駆者として知られるアダム・バック氏だ。
この取引では、ブロックストリームが最大3万BTC(約35億ドル相当)を出資し、その見返りとしてキャンター側のビークルの株式を取得するとされている。このビークルは取引完了後に「BSTRホールディングス」へと名称変更される予定だ。
さらに、最大8億ドルの追加資金調達も含まれており、さらなるビットコイン購入の原資として活用される見通しだ。
フィナンシャルタイムズによれば、この取引は今週中にも成立する可能性があるが、最終条件は変更される可能性もあるという。
ビットコイン分野に本格参入するキャンター
この取引が完了すれば、キャンター・フィッツジェラルドは世界有数のビットコイン保有企業の一角となる。同社が保有する2つのビークル(BSTRホールディングスおよびトゥエンティ・ワン・キャピタル)を通じた仮想通貨関連の取得額は、2025年内に総額で100億ドル近くに達する可能性があると報じられている。
今回の動きは、カンターが2025年4月にソフトバンクおよびテザーと提携し、ビットコイン取得を目的とした会社を設立した際の 36億ドル規模の取引 に続くものとなる。
なお、キャンターの現会長は、トランプ政権下で商務長官に 就任した ハワード・ラトニック氏の息子で、27歳のブランドン・ラトニック氏が務めており、2025年2月に就任している。
1株あたりBTC保有量の最大化
今回の取引は、1株あたりの利益(EPS)ではなく1株あたりのBTC保有量(BTC per Share)の最大化を目的とした、ビットコイン・ネイティブな資本形成戦略の一環とされている。
キャンター傘下のトゥエンティ・ワン・キャピタルは、マイケル・セイラー氏(ストラテジー創業者)の戦略を模倣しようとしており、同氏は2020年以降に総額700億ドル分のビットコインを積み上げてきたことで知られる。キャンターもすでに5月に初のビットコイン貸付取引を実施済みであり、同様の路線を歩み始めている。
アダム・バック氏は、ビットコイン誕生前の1997年に発表した暗号技術「Hashcash」で知られ、これはビットコインの創設者サトシ・ナカモトがプルーフ・オブ・ワーク(PoW)モデルの基盤として引用したものである。今回の取引は、そうしたビットコイン黎明期からの人物が関与する重要な資本移動として注目を集めている。
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