スペースXは、1,308BTC(約1億5,300万ドル相当)を移動させた。オンチェーンでの動きは実に3年ぶりであり、同社に関連するウォレットを追跡している アーカム・インテリジェンス によって確認された。
ビットコイン(BTC)は、16のP2PKH(Pay-to-Public-Key-Hash)アドレスから引き出され、SegWit対応の単一のP2WPKH(Pay-to-Witness-Public-Key-Hash)アドレスに集約された。こうした移動は、資産管理の効率化や、将来的な送金コストの削減を狙ったものである可能性がある。
資産を移動した理由は明らかになっていないが、この形式から判断すると、反射的な動きというより戦略的な調整と見られる。
スペースXはイーロン・マスク氏によって2002年に設立された民間の宇宙開発企業で、2021年7月にテスラと同時にビットコイン保有を初めて公表した。これは、マスク氏による資産の多様化と仮想通貨の採用促進を目的とした戦略の一環だった。
今回の移動について、スペースXおよびマスク氏からの公式コメントは出ていない。
国防総省が代替企業の検討へ、契約を巡る緊張高まる
スペースXがビットコインを集約した動きは、同社が政治的な不確実性の高まりに直面しているタイミングと重なる。
6月初旬、トランプ政権はスペースXとの約220億ドル相当の契約について、見直しまたは撤回を検討していると報じられた。これは、マスク氏とトランプ氏のX(旧ツイッター)上での対立が影響したとみられる。契約の大半は「米国の安全保障上あまりに重要で削除できない」とされたが、この一件は政治的な緊張の高まりを象徴し、同社の政府との関係継続に疑問を投げかけた。
同日、米国防総省は、1750億ドル規模の宇宙配備型ミサイル防衛構想「ゴールデン・ドーム」について、契約先の多様化を正式に発表した。この構想は、衛星ネットワークを構築して脅威を探知・追跡するものである。
ロイター通信によれば、 「スペースXへの過度な依存」への懸念から、トランプ政権は他の事業者にも入札の機会を開放し、ゴールデン・ドームがスペースX単独に依存しないようにする方針を示したという。
ミームコインからステーブルコイン決済へ
2021年のビットコイン強気相場以来、イーロン・マスク氏と仮想通貨の関係は一貫性に欠けている。初期のツイートでドージコインを推奨し、ミームコインが急騰したものの、コメディ番組「サタデー・ナイト・ライブ」出演後に30%下落する展開もあった。
同年、テスラは15億ドル相当のビットコインを購入し、一時的にBTCでの支払いも受け付けたが、環境負荷への懸念から方針を撤回し、保有の一部を売却した。
2022年にツイッターを買収してXに改名したマスク氏は、金融サービスの統合を視野に入れた基盤構築を進めている。Xは米国各州で送金業ライセンスを取得し、バックエンドコードにはネイティブな仮想通貨ウォレットの初期開発も見られた。現時点では暗号資産機能は公表されていないが、ブロックチェーン統合は長期的な構想の一部とされている。
2024年のポッドキャストで、ベンチャーキャピタリストのチャマス・パリハピティヤ氏は、スペースXが新興市場でのスターリンク支払いにステーブルコインを活用していると語った。「銀行送金の処理をしたくないので、ステーブルコインに切り替えている」と述べている。
現在、スペースXは推定6,977BTC(約8億1,500万ドル相当)を保有しており、企業としては有数のビットコイン保有量を誇る。
bitbankで新規口座開設後、1万円の入金でもれなく現金1,000円プレゼント!【PR】