ハイパーリキッドでシステム障害、取引が一時停止｜復旧済み

分散型取引所（DEX）プラットホームのハイパーリキッドは29日、複数のトレーダーが取引注文を実行できないと報告したことで、システム停止の懸念が 広がった。

同社の担当者は公式Discordで、問題を調査中であると説明している。

APIサーバーの不具合

今回のシステム障害は、日本時間23時20分から23時47分までの27分間にわたって続いた。この間、ユーザーは注文の実行やポジションの変更、口座へのアクセスが一切できなくなった。

原因は、トラフィックの急増によるAPIサーバーの不具合だった。

基盤となるレイヤー1ブロックチェーンや DEX といった分散型バックエンドは機能していた。

しかし、ウェブサイトやモバイルアプリなど中央集権型のフロントエンドが停止し、ユーザーの操作を受け付けない状態に陥った。

当時、プラットフォームの建玉残高は過去最高の147億ドルを超えていた。

トレーダーからはポジションを決済できず、資金の引き出しや損切り注文の調整も不可能だったとの報告が相次ぎ、強制ロスカットや資産損失への不安が広がった。

ハイパーリキッドの独自トークンであるHYPEは、障害発生中に一時約5%下落し、45ドルから42.87ドルまで値を下げた。

その後、サービス復旧の報を受けて、執筆時点の43.36ドルまで一部回復している。

DeFiに潜む中央集権的な脆弱性

ハイパーリキッドはDEXをうたうものの、フロントエンドとAPIは中央集権的なシステムに依存している。

この構造は、 DeFi において繰り返し指摘される脆弱性だ。

過去にも同様の障害は発生しており、分散型金融のリスクを浮き彫りにした。

障害発生前には、マイナスの資金調達率や記録的な建玉残高が観測されていた。このため、市場では組織的な攻撃や意図的なシステム障害を疑う声も上がっている。

また、ハイパーリキッドのオーダーブックに依存する別のDEXであるLighter DEXも、この影響でサービス中断を余儀なくされた。

今回の件は、一見分散化されているように見えるプラットフォームでも、中央集権的な要素がシステム全体のリスクになり得ることを示している。