Solana ETFが機関投資家の暗闘を引き起こす:2億ドルの資金注入でも暴落を止められず、Western Unionの参入がゲームのルールを変える
Solana ETFの承認は終点ではなく、新たな時代の幕開けを告げる号砲です。
原文作者:Cathy,Plain Blockchain
2025年10月末、暗号資産の世界は歴史的な瞬間を目撃しました。Solana(SOL)が最後の規制障壁を突破し、BitcoinとEthereumに続き、米国で現物取引所取引商品(ETP)の承認を受けた3番目の暗号資産となりました。
これは単なる「また一つETFが承認された」という退屈なニュースではありません。その承認プロセスはドラマチックであり、プロダクト設計には巧妙な仕掛けが隠され、市場の反応は多くのトレーダーを驚かせました。暗号業界に身を置く私たちにとって、Solana ETFの上場は物語の終わりではなく、「インサイダー情報」と新たなチャンスに満ちた始まりなのです。
01 ウォール街の「内戦」
Solana ETFの「誕生」は極めて異例でした。SEC(米国証券取引委員会)の公開投票や熱意あるプレスリリースによるものではなく、米国連邦政府の「シャットダウン」という混乱期に起こりました。
このような規制機関の機能が制限された特別なタイミングで、2つの資産運用大手——BitwiseとGrayscale(灰度)——が驚くべき法的洞察力を発揮しました。彼らはSECがこの期間に発表したガイドラインを利用し、S-1登録声明が「遅延修正案」なしで自動的に有効となることを可能にしました。
- 10月28日:Bitwise Solana Staking ETF(コード: BSOL)がニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場。
- 10月29日:Grayscale Solana Trust(コード: GSOL)が続き、信託商品をETPへと転換。
この「規制サプライズ」により、米国の数兆ドル規模の機関資本とリテール年金口座に、適法なSolana投資の入り口が開かれました。
初週のデータはまさに「ヘビー級」。米国Solana ETPsの合計によると:
- 初週累計純流入:1.992億ドル
- 総運用資産規模(AUM)は急速に5億ドルの大台を突破。
しかし「平均値」は真実を隠しています。この約2億ドルの巨額流入の裏には、極めて苛烈な、勝者総取りの「ウォール街内戦」がありました。
- 勝者:Bitwise(BSOL)、初週純流入1.97億ドル、総運用資産規模(シード資金含む):約4.2億ドル。
- 敗者:Grayscale(GSOL)、初週純流入:218万ドル、総運用資産規模(転換資産含む):約1.01億ドル。
見間違いではありません。新規流入資金のうち、BitwiseのBSOLが99%の市場シェアをほぼ独占しました。この一見互角に見える戦いは、実は初日に勝敗が決していたのです。
なぜここまで一方的になったのでしょうか?答えはBSOLの教科書的な「電撃戦三要素」にあります:
タイミング(1日早い=全てを制す):BSOLは10月28日(火)に上場し、GSOLは29日(水)に転換を完了。流動性が命のETFの世界では、Bloombergのアナリストが鋭く指摘した通り「たった1日遅れるだけで実質的に大きな差となり、競争が非常に難しくなる」。BSOLは見事に「正統な」Solana ETFとしての地位を確立しました。
価格(0.20% vs 0.35%):BSOLの管理手数料はわずか0.20%、しかも最初の3ヶ月またはAUMが10億ドルに達するまで完全無料。一方、GSOLの手数料は0.35%と高額。コスト意識の高い機関投資家にとって、この年率0.15%の差は無視できません。
プロダクト(100% vs 77%):これが最も重要な「秘密兵器」です。BSOLは目論見書で100%のSOL資産をステーキング(Staking)に使用すると約束。一方、GSOLは77%のみをステーキングに充てるとしています。
暗号業界外の人にとっては、この23%の差は大したことがないかもしれません。しかし、業界を知る者にとって、これこそがSolana ETFの革命的なポイントなのです。
02 「利息を生む」ETF
Solana ETFの登場は、構造面でBitcoin ETFよりも革命的です。
Bitcoin ETFは単なる「デジタルゴールド」の金庫。保有しても何の収益も生みません。しかしSolanaはプルーフ・オブ・ステーク(PoS)資産であり、保有し(ステーキングすれば)、継続的に賃料を生み出す「デジタル不動産」を持つようなものです。
「利息を生む資産」の魅力
- 利回りで圧倒:Solanaのステーキング年利(APY)は5%〜7%。これはEthereumの約2%を大きく上回り、機関投資家に「独自の収入源」を提供します。
- ナラティブの転換:BitwiseのCIO Matt Houganは「機関投資家はETFが好きで、収入が好き。Solanaは全ブロックチェーン中で最も収入が高い。だから機関投資家はSolana ETFを好む」と明快にまとめています。
- プロダクトの本質:Bitcoin ETFへの投資は「デジタルゴールド」の値上がりに賭けること。一方、Solana ETFへの投資は値上がりに加え、伝統的な債券や株式とは無関係な、十分なキャッシュフロー(ステーキング収益)も得られます。
最大の「サプライズ」はSECの態度にあります。
2024年のEthereum ETF承認時、「ステーキング」という言葉は絶対的なタブーでした。SECはステーキングが「証券」属性に関わることを極端に嫌い、全ての発行者に関連条項の削除を強制しました。
しかし今回は、SECは静かに「ゴーサイン」を出しました。BSOLとGSOLという「ステーキングを含む」2つのプロダクトの上場を黙認したのです。
この黙認は、SECの規制姿勢の大きな転換を示しています。ウォール街に新たな、数兆ドル規模の「利息を生む暗号資産」市場が開かれました。機関投資家は今や暗号資産を購入するだけでなく、適法なETFツールを通じて、これらの暗号資産を「雇用」し(ステーキングで利息を得る)、働かせることができるのです。これはゲームのルールを根本から変えました。
03 「超好材料」なのに価格が暴落した理由は?
ウォール街がこのETFの勝利を祝う中、チャートを見つめる全てのトレーダーは大きな困惑に陥りました:
ETFに初週で約2億ドルが流入したのに、なぜSOLの価格は暴落したのか?
データによると、ETF上場後、SOLの価格は上昇するどころか大きく調整しました。10月30日には1日で8%下落し、直近8月の高値からは一時27%も下落、最安値は163ドル近辺と、予想された300ドルを大きく下回りました。
「流入増加、価格下落」——この逆説的な現象に多くの人が不意を突かれました。しかしデータを深掘りすると、これはETFの失敗を示すものではなく、4つの強力な要因が重なった結果であることが分かります:
- 「噂で買い、事実で売る」(Sell the News):これは最も典型的なパターン。ETF承認前の数週間(あるいは数ヶ月)に仕込んだ短期トレーダーが、「ニュースが出た瞬間」に一斉に利益確定を行いました。
- 歴史は繰り返す(Bitcoin):2024年1月のBitcoin ETF上場後の値動きと全く同じ。当時もBTC価格はETF上場後に冴えず下落(約-5%)、資金流入が強かったにも関わらず。真の反発は「ニュース売り」の売り圧が完全に吸収された数週間後に始まりました。
- マクロの「パーフェクトストーム」:Solana ETFの上場タイミングは「地獄級の難易度」。ちょうど暗号市場全体がリスク回避の波に直面していました。同時期(10月27日週)、Bitcoin ETFは6億〜9.46億ドルもの大規模資金流出に見舞われ、市場全体が「出血」していました。
- 「クジラ」の売却:これが最も致命的な一撃。オンチェーンデータによると、トレーディング大手Jump Cryptoは10月30日——BSOL上場の翌日——に110万SOL(約2.05億ドル相当)をBitcoinに交換しました。
さあ、全ての手がかりを繋げてみましょう:
「ニュース売り」ムードが高まり、Bitcoin ETFが6億ドル超の資金流出という「パーフェクトストーム」の中で、1頭のクジラが市場に2.05億ドル分のSOLを売却しました。
通常の市場環境なら、これはSOL価格の崩壊を引き起こすに十分です。
しかし2025年10月最終週、この2.05億ドルの巨額売却は、Solana ETF(主にBSOL)による1.992億ドルの新規機関買いでほぼ完璧に吸収されました。
これが真実です:SOL ETFの資金流入は、市場全体が出血する中で驚異的な「相対的強さ」を示しました。新たな機関投資家(ETF買い手)が、老舗機関(Jump Crypto)の売りを正面から受け止めているのです。これは決してネガティブではなく、むしろ強い長期的な強気シグナルです。強力で絶え間ない新たな機関買いが既に形成されている証拠です。
04 Solana ETFの今後は?
ETFが承認され、ウォール街の次なる関心は「どれだけの資金を吸収できるか?」です。この点で、暗号ネイティブ企業と伝統的金融大手の間には大きな見解の相違があります:
- 強気派(暗号ネイティブ):Grayscaleのリサーチ責任者Zach Pandlは、Solana ETPsが今後1〜2年でSolana総供給量の5%を吸収する可能性があり、現在価格で計算すると50億ドル超の資金流入になると予測しています。
- 慎重派(伝統金融):大手JPMorganは「異端児」。同社のレポートでは、Solana ETFの初年度純流入は15億ドルにとどまると予測しています。
なぜJPMorganはここまで慎重なのでしょうか?その理由は「Solanaに対する機関の認知度が低い」ことと、ネットワーク活動における「Meme coin取引の台頭」への懸念です。
JPMorganの懸念は伝統金融の一般的な不安を代表しています:Solanaは本当にハイテク金融インフラなのか、それとも投機家だらけの「Memeコインカジノ」なのか?
しかし、ETF上場からわずか2日後、「新たな資金」の参入がSolana「カジノかインフラか」論争に終止符を打ちました。
2025年10月30日、世界的な決済大手Western Unionが重大な戦略発表を行いました:Western UnionはSolanaブロックチェーンを新たなステーブルコイン——U.S. Dollar Payment Token(USDPT)——の発行ネットワークに選定し、2026年前半にローンチ予定であると発表しました。
Western Unionは発表で、Solanaを選んだ理由として「高パフォーマンス」「高スループット・低コスト・即時決済」を明確に挙げています。
このニュースの衝撃はETFを遥かに上回ります。JPMorganの疑問に完璧な回答を与えました。誰も「Memeコインカジノ」にグローバル送金ネットワークを構築しません。Western Unionが将来の中核事業をSolanaに賭けたことは、Solanaの「金融インフラ」属性への最強の支持表明です。
05 まとめ
Solana ETFの承認は終点ではなく、新時代の号砲です。機関によるSolana採用の2つの並行するトラックが明確に示されました:
- 金融化トラック(ETF):ウォール街の資産運用会社(Bitwiseなど)はSOL(トークン)を「利息を生む」金融資産としてパッケージ化し、機関顧客に販売しています。
- インフラトラック(Western Union):世界中の企業(Western Unionなど)はSolana(ネットワーク)を「低コストの」金融インフラとして、自社の中核事業を構築しています。
この2つのトラックは相互に強化し合います。Western Unionの採用はETFを購入する機関に最強のファンダメンタルズを提供し、ETFがもたらす巨大なAUMとプロフェッショナルなステーキング(Bitwiseの「新ウォール街」ナラティブ)は、Western Unionなどのビルダーにより安全で安定したネットワークを提供します。
JPMorganがまだ「Memeコイン」を心配している間に、BitwiseとWestern Unionは行動で証明しました:Solanaは単なる「新ウォール街」ではなく、ウォール街とグローバル決済の「新インフラ」なのです。金融化とインフラ化のフライホイールは、すでに同時に加速し始めています。
免責事項:本記事の内容はあくまでも筆者の意見を反映したものであり、いかなる立場においても当プラットフォームを代表するものではありません。また、本記事は投資判断の参考となることを目的としたものではありません。
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