香港、仮想通貨取引規制を緩和し市場活性化へ
SFCがグローバル流動性との接続を解禁、金融ハブ再興を狙う
SFC (香港証券先物委員会)は、認可を受けた仮想通貨取引プラットフォーム(VATP)がグローバルな注文板へアクセスできるよう、取引規制を緩和する方針を示した。
ジュリア・リョン(Julia Leung)CEOは 香港フィンテックウィーク でこの方針を発表し、詳細な通達を同日中に公表すると述べた。
これまで香港では、取引を域内に限定する「リングフェンス」方式が採用されていたが、今回の見直しにより国際的な流動性を直接取り込む環境が整うことになる。デジタル資産市場の成長が世界的に進む中で、香港としては投資家保護を維持しつつ、段階的に市場を開く姿勢が明確になった。
取引ルールの見直しで事業者の選択肢が拡大
新たな枠組みでは、仮想通貨の取引ルールが従来の金融商品に近い整理に向かう。SFCは現在、仮想通貨ディーラーとカストディアンに関するライセンス指針を詰めている段階で、次の議論として、香港で認可を受けた仮想通貨ブローカーに国際的な流動性プールへの接続を認めるかどうかを検討している。
もしこれが実現すれば、バイナンスやコインベースといった大手企業も、完全な取引所ライセンスを最初から取得せずとも、ブローカー枠を通じて香港市場での事業展開が可能になる。参入ハードルが下がり、市場の事業者構成も変化する可能性がある。
SFCの公開情報によると、現在11の取引所が正式なライセンスを保有し、49のブローカーがオムニバス口座契約のもとで仮想資産取引サービスを提供している。また今回の通達により、認可を受けた取引所はプロ投資家向けに新規トークンと HKMA (香港金融管理局)が承認したステーブルコインを上場できるようになる。従来求められていた過去12カ月間の流動性実績の要件は適用されない。
フィンテック戦略とステーブルコイン体制の整備
HKMAは来年、ステーブルコイン発行者に対する初のライセンス付与を予定している。さらに、AI活用やトークン化された金融サービスの基盤整備を重点に置いた5か年計画も進行中で、今後3年間だけでも年間1,000億香港ドルを超える規模のデジタル投資が見込まれる。
香港はすでにビットコインとイーサリアムに連動するETFを認可し、デジタル資産ファンドに対する規制整備も進めてきた。一方で、取引量は米国やシンガポールと比較すると依然として低い水準にあり、市場の回復と拡大は課題となっていた。今回の規制緩和は、香港が再びデジタル資産の中核拠点として存在感を取り戻すための実質的な一手といえる。
総じて、香港は「取引を囲い込む市場」から「世界の流動性と接続する市場」へと移行しつつある。その実効性は、国際プール接続の運用開始時期、ブローカーライセンスを通じた大手企業の参入状況、そしてステーブルコイン発行ライセンスの初事例によって左右されるだろう。
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